希少なハンドクラフト
彫金
パテック フィリップの時計製作には希少なハンドクラフトが数多く用いられており、その中には4世紀以上にわたって受け継がれてきた伝統工芸技術があります。ケースを宝飾品に変える彫金もその一つ。彫金はカンバスとなる金属素材に洗練された装飾やモチーフを立体的に描き出すデリケートな芸術です。パテック フィリップは彫刻刀で細い線を刻んでゆく「線彫り」、鏨を用いて背景を削り取りモチーフを浮き立たせる「浮彫り」、平たい鏨で金属素材を平らに削り取り、削り取った部分に七宝を施す「シャンルヴェ」という3種の彫金技術を用いて数々の芸術的作品を製作しています。
木象嵌
家具や木製小物などに用いられてきた木象嵌が時計製作に取り入れられたのは、まだ最近のことです。パテック フィリップは木象嵌作家に製作を依頼したプレゼンテーション・ボックスの美しさに魅了され、2008年に初の木象嵌文字盤搭載懐中時計を製作。細密な木象嵌技術をタイムピースの文字盤を装飾する新しい工芸ジャンルとして確立したのです。パテック フィリップがこれまで製作した木象嵌の中でも特に複雑な作品のひとつである「武士の肖像」は53種の色、質感、木目の異なる木から800枚の突板と200個の小さなインレイを切り出し、組み立てられています。
七宝
七宝は17世紀から時計のケースや文字盤装飾に用いられてきた伝統的な装飾技法です。時計装飾における七宝にはゴールドのワイヤーで作った囲いの中に異なる色の釉薬を塗り重ねていく「クロワゾネ」、金属素材の表面を削り釉薬を施す「シャンルヴェ」、透明な七宝に微細なゴールドの装飾小片を埋め込む「パイヨネ」、白色の七宝の上に微細な筆でモチーフを描く「七宝細密画」、ギヨシェ装飾の上に釉薬を施す「フランケ七宝」という5種の主な手法があります。ひとつの作品に複数の手法が用いられることもあり、パテック フィリップの七宝職人は金属、色彩、炎を自在にあやつりながら時を超えて愛される芸術作品を創作しています。
ジェム・セッティング
ジェム・セッティングは高級時計製作とハイジュエリーの接点に位置する繊細な工芸技術です。時計に施されるダイヤモンドや貴石は一つひとつの石を適切な方向に正確かつ規則的に配置することによって、その輝きが最大限に引き出されます。ジェム・セッティングには「スノー」「グレイン」「インビジブル」「グリフ」など、さまざまな技法がありますが、希少なハンドクラフトでは完全な手作業で貴石をセッティングしており、パテック フィリップのジェム・セッターは他ブランドのジュエラーが見ても驚くほどの高い技術力と鑑識眼を有しています。